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2019/5/15

イベントレポート

2月23日(土)開催「Gabarito KOBE」 レポート

2月23日(土)

2月らしい冷たい風に飛ばされて宙を舞う、参加者用の短冊。それを慌ててかき集めるスタッフ。そんな光景が広がるJR神戸駅北口のロータリーに、ぽつりぽつりと参加者が集まり始めました。
2月23日(土)に開催した吟行句会イベント「Gabarito KOBE」。昨年7月に、湊川・新開地エリアを舞台にゲストと参加者が吟行、その後句会をおこなったイベントの第2弾です。今回の吟行エリアは元町高架下。JR神戸駅から元町駅まで細長く続く一本道で、15人の参加者が俳句の題材を探し歩きました。
ゲストは、俳人の榮猿丸さんと、ロック漫筆の安田謙一さん。集合場所のロータリーで顔合わせが済んだら、いざ吟行へ。この日は風はあるものの日差しが暖かく、所謂おでかけ日和な天候。そんなぽかぽかした太陽の下を離れ、昼間なのにまるで夜のような高架下に足を踏み入れました。
ちなみに、この外界から遮断されたような高架下の様子も句として詠まれていますので、レポート後半のリンクからご覧いただける今回の投句一覧で探してみてくださいね。

  

ネオンのように、ちょっと怪しく光るお店の看板が頭上に連なる細い道を、ぞろぞろと集団が歩きます。最初は固まっていた参加者も、次第にそれぞれが気になった場所で足を止め始め、まばらに。商品が所狭しと押し込められた店の前で店主のおじさんの話に耳を傾けたり、マニアなら見逃さないような年代物がずらりと並ぶショーケースをじっと眺めたり。しばらく見かけなかった参加者に「どちらに行かれていたんですか?」と聞くと「喫茶店で休憩しながら句の整理をしていました。猿丸さんともばったり会ったんですよ」と返ってくる場面も。進むも自由、止まるも自由。途中、買うのも食べるのもよし。途中の集合ポイントは設けられていますが、与えられた時間を使って、参加者たちは思い思いに目で見た景色を言葉に落とし込みました。

  

  

夕方、無事に全員がKIITOに集まると、安田さんが吟行中にいつの間にか購入していた詩吟コンダクターなるもの(詩吟のチューニング等に使う楽器)を披露。しかもプロ用だったため全く使う機会がないという報告に会場からは笑いが起こり、会議室という雰囲気も相まって少し硬かった空気が和らいだところで、句会がスタートしました。
ひとつひとつの句を丁寧に噛み砕き、ゲストのお二人、コーディネーターの酒井さんをはじめ、参加者もお互いの句について意見交換を繰り広げます。2月ですが季語上ではすでに「春」だったため、やはり春が付く季語を使った句が多く見られました。また、気になる箇所は人それぞれだと言うものの、同じ道を歩いていたこともあり「これ、私も見ました」と同じ風景をちがうことばで俳句に起こしている参加者も居り、一本道での吟行ならではの魅力が感じられました。

  

今回も、第1回の開催と同じくゲスト賞と最多得票句に賞品が贈呈されました。

〈榮猿丸 賞〉
候補者のポスターだけが春の色  阪上真吾
〈安田謙一 賞〉
等間隔に水谷豊ラブコール  安藤友美
〈KIITO賞(最多得票句)〉
幼子が「漏れる漏れる」と春の駅  有吉結子

今回詠まれたすべての句はこちらからご覧いただけます。

  

神戸の地で、エリアを変えて2回開催した「Gabarito KOBE」。参加者の視点をことばに置き換えて表現する手法を体験することによって、吟行句会というものが少し身近になったのではないでしょうか。

イベントの詳細はこちら
Gabarito KOBE(2月23日開催)